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ただのメモ帳

   
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「艦隊これくしょん -艦これ- 陽炎、抜錨します! 2巻」の、王道と百合以外についての面白さを書いてみたい(※ネタバレあり)
熱いバトルと青春を描いた王道ラノベ
正妻や現地妻で修羅場になる、ハーレムラノベの主人公を女にしたような百合ラノベ
仮に私がこの小説を読んでなかったら、どっちのレビューを見てもあまり読みたくならないと思う。


前者に至っては悪くはないんだけど説明不足。
「王道を忠実に守っただけだと平凡で退屈な教科書的作品になるのでは…」と思うだけで、これといって「この本ならでは」の魅力が伝わらない。
後者に至っては百合脳乙。作中で本当に同性同士で恋愛してるならわかるんだけど、無理矢理友情を恋愛に変換して妄想してるとしか思えない。
(誤解されそうなレビューをするのはどうかと思うだけで、別にアンチ百合ではない。百合愛好家向け掲示板やブログで書くんならいいと思う)


というわけでそのへん以外で面白いと感じた理由をだらだらと。


■「キャラが本当に死んじゃうかも…」と思わせるのが上手い
・原作ゲームにキャラロストが存在する
・仕様上絶対に重巡や戦艦並に強くなることはできない、無力な駆逐艦が主役
・海岸に流されてたモブ艦娘の生死がはっきり書かれておらず、読者の想像任せ
・主人公(主要キャラ)補正が存在しない
・「嫌な予感がする」出撃前に、ただ無言で陽炎のタイを整えるだけであっさり出撃していく不知火
・主要キャラでも普通に瀕死になる
・行方不明の駆逐艦はあっさり切り捨てられてしまう、艦娘の命の軽い世界

おかげで王道ストーリーで最後はハッピーエンドとわかっていても、最後まで心の中で「不知火は本当に死んでしまうんではないか」という疑いが消えず、ハラハラしたし助かった時は本当に嬉しかった。
(これが周りのモブは死にまくるのに主役級は不自然に傷一つつかないような主人公補正の強いノベルだったら、この緊迫感は全く感じられなかったと思う)

■原作セリフの使い方が上手い
原作とは全く違う場面で思いがけず使われるので、不意打ちでびっくりする。
それでいて違和感なく自然。
でもあと数巻でセリフ使い果たしそうなんだけど、どうするんだろう…という心配も(同じセリフをアレンジして使うとか?)

■原作ゲーム設定の取り入れ方が自然
原作がゲームなのでゲームらしい無理のある設定が多いんだけど、それをゲームっぽさを薄め自然に小説内に組み込むのが上手い。

■ファンタジー要素を極力小さくしている
原作ゲームのファンタジー要素は、艦娘と敵のモンスター以外ほとんど残ってない。
艦娘は元はただの人間で艤装が無ければ無力だし、妖精さんの存在も潔くカット。
魔法や超能力みたいなものは出てこない。

■泥臭い
一巻に続いて、女の子達が素手で殴り合ってケンカをしつつ絆を深めるような昭和少年漫画的ノリ。
「美少女ゲームのノベライズ」としてギリギリな所なので好みは別れると思うけど、とりあえず個性的であるのは確か。

■根はみんな良い人
1巻は一部キャラが怪しかったが、2巻では大分このコンセプトになってきた。
どのキャラのファンも安心。

■キャラ属性追加はするがキャラ崩壊はさせない
よく「キャラ崩壊しすぎ」と言われてるこのノベルの皐月だが実際はそんなに崩壊してない
ちょっとボーイッシュで無邪気で元気な女の子のベースはそのままに、筋トレ属性や酒好き属性追加した感じ。
原作がセリフ総数の少ないゲームなため、原作そのままだと面白味のないキャラになったり話を動かしづらくなったりすると思うのでこの辺は良い判断だったと思う。

ただ一瞬しか登場しない脇キャラに限っては、ベースから崩壊していて不評なキャラもいる。
1巻で非難の声が大きかった高雄に至っては2巻でフォローされたが。

■主要キャラがみんな弱い
全員「駆逐艦」という原作においての最弱艦種キャラ。
(どんなにLv上げようが改造しようが一定ステータス以上強くならない)
他のキャラも重巡や軽巡など駆逐艦ほどじゃないが弱めの艦種のキャラがほとんどで、原作で強いキャラはほとんど出てこない。

「派手な戦闘が描きづらい」というデメリットはあるが、そのかわり「読者に近い立場なので感情移入しやすく、艦これ世界の中を歩くためのカメラ役として非常に適任」というメリットを強く感じた。

■百合狙いが鼻につかない
まず陽炎がリーダーシップと仲間愛が強いキャラなので、他のキャラ達に好かれる理由は自然と納得いく。

あと序盤に陽炎が不知火の事が大好きという表現をこれでもかって程しておいて、中盤で不知火の「(不知火が所属する)元の艦隊に戻って欲しい」という誘いを悩みつつも仕事優先で考えはっきり断る。
このあたりで「百合オタに媚びた安易な百合狙い」という印象は消え失せ陽炎への好感度が上がる。

他の百合についても友情と受け取れる範囲内で描いてる。例えば見つめ合って顔を赤くしたりお風呂で別な女の子の裸見てドキドキする、みたいな性愛的描写はない。
更に男キャラを不自然に排除したりせず、男提督を出す。
百合オタに好かれつつ百合に興味ない層も楽しませる匙加減が上手い。

■読者に「本当に艦これの世界に自分が入りこんだような」気分にさせるのが上手い

上で書いた
・ファンタジー要素が控えめ
・泥臭い
・原作ゲーム設定の取り入れ方が自然
・主要キャラがみんな弱い

に、付け加えて
・駆逐艦というゲーム中で弱くプレイヤーに名前も覚えられないようなキャラに視点をおき、強いキャラ(戦艦・正規空母)や提督は雲の上の存在
・舞台が(昭和風な)現代日本

この辺が上手く作用しているように感じる。
リアリティや生活感を感じて親しみやすいし、臨場感がある。
おかげでバトルモノの王道展開でも「またテンプレ展開かー、もう飽きたよこれ」と思わず、素直に感情移入できた。

…と、基本的に良いノベライズだとは思うのだけど…
まぁ不満点も少しはある。

◆2巻で残念に思ったこと
・主人公補正が強くないのが良い所だと思ってたので、ラストで陽炎が主人公補正気味でがっかり(他の重巡あたりと一緒に協力して倒す展開で良かったと思う)
・潮と霰の存在感が薄い(霰は1巻からそうだが)
・誤字

◆今後不安に思うこと
・1巻と2巻に共通する話の流れ(艦隊内の人間関係が上手くいかずケンカ→仲間の艦娘がピンチ→助けにいく→助かって絆を深める)が3巻以降も続くとマンネリ化し飽きられそう
・この設定だと長く続けるのは難しそう(個人的には綺麗にまとまってくれれば5巻ぐらいで終わっても構わないが)
・だらだら長く続いても死の匂いや泥臭さや世知辛さが消え、普通に主人公補正のある主人公達が俺TUEEEする平凡なヒーローものになってしまいそう
・2巻の展開の熱さは不知火によるところが大きいと思われるため、不知火が出ないと思われる3巻以降が心配
・ネット上で百合の評価が非常に高いので、作者がそれを真に受けると恋愛脳な女の子達が仕事ほったらかしでイチャイチャしたり嫉妬するようなただの萌え小説になりそう



一巻は高く評価されつつも、一部読者による不満点も結構出てた
二巻は一巻で高く評価された部分を強化しつつ、不満点は上手くフォローし一巻より評価が上がる…ここまでは良いんだけど
三巻で二巻の評判の良さに調子に乗り、二巻でやった事をやりすぎてミルキィホームズ二期現象になってしまわないか不安

(※ミルキィホームズ二期現象:ネット上の偏った意見を参考にしすぎて続編が一部のコアなファン向けに特化された内容になってしまい、多数の普通のファンが離れてしまう現象)



(追記)
共感できた感想引用。
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/36382239
>この作品は基本的に駆逐艦娘の視点で描かれているから、戦艦や空母はあまり出てこない。そこがいいと思う。艦これで艦隊を組む時の主力になる戦艦や空母があまりはっきりと固有名で出てこない駆逐艦の世界に視点を置くことで艦これの世界のどこかで実際にあった感じが強くなるというか。
https://twitter.com/ariya_/status/448695322504482816
>あとすこし興味深いというか、頭の片隅に置いておこうと思ったのが、陽炎抜錨では主体となっている艦娘以外はみんな存在をぼやかしたモブ描写されていて、そこが世界に広がりを持たせていて良いなーと。あそこでいちいちそれっぽい描写が入ると読み手の想像力が殺されてしまう。テクニックだなあ。
王道はただ何も考えず王道なぞってれば面白いという訳じゃなく
こういう読者が気づきづらい、何気ない所で上手く土台を作った上でやると抜群に面白くなるような気がする。
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